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【2019年5月25日開催】NPO法人Stand with Syria Japan設立記念イベント −日本から紡ぐシリア。未来への希望−

NPO法人化設立記念イベントのお知らせ

この度、Stand with Syria Japanは特定非営利活動法人(NPO法人)として新たなスタートを切ることとなりました。
これまでは法人格のない任意の非営利団体という形で活動をして参りましたが、これより、日本政府より承認された正式なNPO法人として活動をして行く事となります。

SSJは、日本で初、そして唯一の「シリア危機を専門とし、シリア市民の目線で支援活動するNPO法人」となります。

新しく生まれ変わったSSJでは、これまでのシリア危機の関心向上・意識変革プロジェクトはもちろんのこと、国内の最も困窮する人々へ支援を直接届ける人道支援プロジェクト、人権問題に関するアドボカシープロジェクトなどが始動いたします。今後は、日本におけるシリア問題の専門機関として、日本政府や民間企業にも協力要請や交渉を行うことも決定しています。

さて、SSJではNPO法人化を記念して、5月25日(土)に記念イベントを開催いたします!
当日は、シリア問題の専門家、危機の当事者であるシリア人をお迎えして、日本とシリア危機の関係、SSJを通して日本から出来る支援などを議論するトーク、さらには、熾烈を極めるシリア国内の現状についての現地からの報告が予定されています。
日本からシリアを知り、考えるだけではなく、実際に「アクションに移す」ことが出来るSSJならではの機会となります。
今回の記念イベントの特徴としては、内容に富んだセミナーや貴重な現地中継を経て、SSJメンバーや登壇者を囲んでの懇談会が設けられているという点となります。シリア危機に関する疑問、SSJの活動やプロジェクトについてなど、普段は聞けない話をざっくばらんに懇談いただける機会となります!(実際のシリア人の方の声に耳をかたむける貴重な機会でもあります)

参加料は2000円となりますが、大好評いただいているシリアのスイーツセット(バクラワ、デーツ等)、お飲み物のフリードリンク、シリアの女性支援に繋がる刺繍ボタンが含まれております!
※途中退出される方もスイーツをお持ち帰りいただけます。
※刺繍ボタンをすでにお持ちの方は異なるデザインをお選びいただけます。

◎お申し込みはこちら:https://forms.gle/VChPSKpbEBxiwpvu5
(定員60名となります。どうかご予約はお早めに!)

—-詳細—-

NPO法人Stand with Syria Japan設立記念イベント
−日本から紡ぐシリア。未来への希望−
Stand with Syria Japan Official NPO Recognition Event
“Japan to Syria – Nurturing Hope for the Future -”

◇日時:2019/5/25(土) 13:00-17:15
◇会場
(最寄駅:半蔵門線半蔵門駅6番出口より徒歩1分、有楽町線麹町駅3番出口より徒歩4分)
アクセス:https://cwork-cck.jp/access/

◇プログラム
12:40 開場・受付開始
13:00 開会
「法人化を記念して〜Stand with Syria Japan事業紹介〜」
・山澤宗市(SSJ, Executive Director[副理事長])
13:20 メイン・トーク(1)
「私たちとシリア危機−今、求められる行動(アクション)―」
・山崎やよい × モハメド・マスリ × ゲスト調整中
・モデレーター:山田一竹 (SSJ, CEO[理事長])
14:20 休憩
14:35 特別スカイプ・セッション
「“殲滅の脅威”に直面するイドリブの現状」
シリア人特別ゲスト(近日公開)
15:20 メイン・トーク2
Stand with Syria Japanシリア国内人道支援事業
(マンスリー・サポート)説明
「私たちに出来ること−彼らが明日を生き延びるために−」
・山田一竹 (SSJ, CEO)
・マーセム・アガー(SSJ, Project Coordinator[プロジェクト・コーディネーター])
16:00 質疑応答
16:15 懇談会(フリートーク)
ご登壇者・SSJスタッフと自由に懇談をいただきます。
*シリア・スイーツとお飲物(フリードリンク)と共にお楽しみ下さい
17:15 閉会

◇趣旨
Stand with Syria Japan(SSJ)はこの度、NPO法人として日本政府より正式に認定されました。SSIは、日本で唯一、シリア危機を専門とし、シリア市民の目線で支援活動やアドボカシー活動を展開するNPO法人となります。
SSJでは、法人化を記念し、特別イベントを開催いたします。本イベントは、日本から活動するシリア問題の専門家をお迎えしてのディスカッション、現在政権側の“殲滅攻撃”を受けるイドリブからの特別中継、SSJが開始するシリア国内の最も困窮する人々への人道支援事業の説明、そして本場のスイーツを頂きながらの登壇者との自由な懇談会、という4部構成となっております。
ディスカッションパートでは、シリアに23年住まわれ、シリアの女性支援に取り組まれる考古学者の山崎やよい氏、自身も危機の甚大な被害を受けながらもシリア人支援に奔走したシリア人のモハメド・マスリ氏、SSJ理事長の山田一竹という、シリアと日本を繋ぐスピーカーと共に、「日本に暮らす私たちとシリア」というテーマのもとシリア危機の現状を解説し、日本から出来る支援を考えます。
SSJが活動を開始して2年。シリア危機は終わってなどいません。日本に暮らす私たちは、この危機にどのように対応することが出来るのか。このような重要な問いについてご参加いただく皆様と共に考え、そして、SSJを通してアクションに移すことが出来るという企画となっております。
また、本イベントは、現在シリアのイドリブ・ハマ県で行われる政権側勢力による熾烈な”殲滅攻撃”を受けて開催される企画でもあります。現地と会場を繋ぎ、そこに生きる人々と共にこの人道危機に向き合います。SSJだからこそ実現出来るこの貴重な機会をどうかお見逃しなく。
皆様のご参加を心よりお待ちしております。

◇参加費:2000円(本場シリアのデザート、温かいお飲み物のフリードリンク、シリアの女性支援に繋がる刺繍ボタン付)
◇定員:60人 (先着順)
◎お申し込み:https://forms.gle/VChPSKpbEBxiwpvu5 (再掲)

お問い合わせ:info@standwithsyriajp.com


皆様のお越しを心よりお待ち申し上げております。

開催報告:革命8周年記念特別シンポジウム 

【開催報告:革命8周年記念特別シンポジウム】

3月23日(土)、革命8周年特別シンポジウム「自由への道のり。真の解放を求めて」は90名を超える方にお越しいただき、盛会のうちに閉幕いたしました。

当日は、シリア危機8年を振り返り、シリアの人々の現在と未来について考える大変有意義な機会となりました。

以下、当日の詳細な報告となります。

 

-トークセッション-

第一部 革命
・「サウラの記憶:沈黙と恐怖の壁を超えて」 山田一竹(SSJ代表)

SSJ代表の山田一竹が登壇し、シリア革命の経緯やその精神性と意義について解説を行いました。

まず、二代にわたるアサド政権時代について解説いたしました。ハーフィズ・アル=アサド政権時代については、秘密警察が政府に都合の悪い対抗勢力を恣意的に逮捕、拷問していた事実を伝え、たとえ家の中でも安心することができないほどの徹底的な弾圧時代を振り返りました。恐怖が社会に染みついていたこの時代は、反政府活動を行う者たちは、政府による大弾圧を受けていたことも紹介されました。次に、バッシャール・アル=アサド政権時代についてです。当初は前政権に比べ穏やかなな政治を行っていたものの、結局は強力な独裁体制となっていった経緯について明かしました。山田は、特にこの時代の市民社会の動きに触れ、民主的な政治への改革を目指す結社組織、人権団体の結成など草の根における変革が進んでいたことを説明しました。恐怖、抑圧、汚職と腐敗、そして貧困が蔓延るこの時代に、すでにシリア革命の要素が出来上がっていったと指摘しました。

続いて、シリア革命そのものの解説に移った山田は、革命の意義と精神について、「シリアの人々は一つ」という2011年初期におけるデモのスローガンを取り上げ、様々な垣根を超えた人々がそれぞれの専門分野や得意分野を活かして革命の支援を一丸となり担ったことを説明しました。そして、革命は、「無私無欲」であり、「抑圧されるすべての者への連帯」がエッセンスであったったことが解説されました。

そして最後に、「サウラ(革命)の記憶」、すなわち残された人々の記憶はすべてが破壊され行く中でも、シリアの人々が最後まで「人間」であろうとした証となり、アサド政権に対する最大の武器になりうると結びました。

 

・「<内方浸透>に抗うシリアの記録映画」  岡崎弘樹氏(アラブ近代政治思想、シリア文化研究者)

岡崎弘樹氏よりシリアの記録映画についてご講演いただきました。

まず、日本の国策映画について触れ、数本の作品を紹介し、日本でもドキュメンタリーの形態が戦前戦後で変遷してきたということについてご説明されました。

次にシリアの記録映画についてご解説いただきました。幾つもの実際の作品を引き合いに出しながらのご解説は詳細でいながらも非常に分かりやすいものでした。

実際の話(現実社会での話)と演技を混合する手法や、あえて違和感を見せるという手法等様々な技法が見受けられる20世紀後半の記録映画から、2000年代のシリアにおける市場開放に伴うインターネット、衛星テレビ等の普及により映像業界がそのものが変化したことをご説明されました。現在にかけては、技術の発展、スマートフォン、ハンディカメラなどの普及に伴い、それで撮られた映像などが世論に影響を与えることがあること、またプラカードにアラビア語だけでなく英語の表記も加えるなど革命の“方法”が変化していることについても述べられました。しかしネットにあげられる情報は断片的であり、それがどのように取り上げられるかによって、映像の意味が変わってしまうことには注意が必要だと主張されました。

最後に、シンクタンクや専門家によって特定の利害とともに生み出された知識がマスメディアを通じて確かな情報と偽の情報とともに我々の日常生活に入ってくる「内方浸透」が起きていることについて触れられました。また、ドキュメンタリーは“内方浸透”に抗い、人々がなぜ武器を取ったかについて論理的に伝える一番良い手段であると指摘されました。自由が若手の才能を伸ばすこと、長い歴史を持つシリアには伝統や文化に裏打ちされた技術力、発信力があること、日々のニュースより映画は実際に生きている人について知ることができる手段であることを強調され、シリアの記録映画をたくさん見てほしい、既存のシナリオ以外のものを知ってほしい、とご講演を締めくくられました。

-特別登壇企画-

・「革命は決して終わらない -The Revolution will never Die-」
リーナ・シャミー氏特別登壇:モデレーター/通訳 山田一竹|山崎やよい氏

 

世界的に著名なシリア人アクティビストで建築士のリーナ・シャミー氏にスカイプを通じて特別にご登壇いただきました。アレッポでの地獄を目の当たりにしたシャミー氏が語る言葉の一つ一つが重く、私たちに問いかけてきました。

まず初めに2011年に革命が発生した際の状況についてお話いただきました。アレッポにいたシャミ―氏は「表現ができる自由」というような感覚を感じていました。アレッポは非常に活発に革命を支持し、市民が独自に自由な社会を構築し始めたといいます。しかしその後、だからこそアレッポはアサド政権による激しい攻撃の標的となりました。

「シリア危機は皆さんが思うより本当にひどいものだった」と訴え、アレッポ包囲下の状況について説明されました。食べ物がなく、インフラや医療活動も停止され、毎日のように組織的な空爆があり虐殺が続いていたといいます。包囲の終盤には空爆があまりにも激しくなったため、誰も動けず、救助にあったていたホワイト・ヘルメット隊員ですら、がれきの下から遺体を運び出すことができない状況であったと述べられました。状況は日に日に悪くなり、「非人道的な虐殺が何度も起こっていた」と語られました。

 

2016年冬、アレッポで過ごした最後の日について、シャミ―氏は空爆によって祖国や同胞が破壊されていくのを眺め、率直に「悲しく思った」といいます。同時に、自由、尊厳、正義を求めただけの市民が殺されていくという現実に、不正義と抑圧という感情を感じたそうです。また、「最後の日ほど、故アレッポを愛おしく思ったことなどなかった」、「無理矢理、強制的にアレッポを出て行かされたその日は人生で一番辛い日となった」と述べられました。「革命から8年。革命など起きなければ良かったという声も聞こえるが、リーナさんは革命を今どう思っているか?」という山田と山崎氏の問いかけに、革命が起きるまで私の人生は存在していなかった。アサド政権下という牧場で飼いならされている羊であった私たちは、革命が起きた時、「私はシリア人である、シリアに属している、そしてシリアもまた私たち国民に帰属している」という感情を抱くことができたと語られました。

シャミー氏は、故郷シリアへの想いについては、「いつでも帰りたいと思っているし、そのための準備を毎日している」と述べ、拘禁者が解放され、アサド政権がいない、表現の自由が約束され、誰にも占領されていない故郷、シリア人が自身の運命を決めることのできるシリアに帰りたいと述べられた上で、そのためにもアサド政権の犯した重大な戦争犯罪を決して看過してはならないと強く主張されました。「自分を危険にさらしてまでどうして革命を支援し続けるのか」という問いに対しては「革命が私に生きる意味を与えてくれたのであり、シリアで起きた事から背を向けることはできないし、アサド政権の罪について誰も言及しない中、多くの友人が革命で亡くなっていった中で彼らの死を無駄にすることは決して出来ないのです」と訴えられました。その後は会場との質疑応答に移り、会場からは多くの質問があがりました。

トークの締めくくりとして、シャミー氏はシリア市民の声に耳を貸すことが重要であり、シリアの人々を気にかけることがシリアの人々の「支援」になると述べられ、シリアの人々が語る真実を聴いてほしいと強く訴えられました。「シリア人は時々1人なのではないかと感じるが、ここに集まってくれた皆さんのおかげでそうでないと感じられた、誰かが “Care”してくれることで私たちは人間性と正義でつながることができるのです。このような機会を与えてくれて心から感謝します」

 

第二部 内戦

・「失われた故郷:アレッポで見たもの」  藤原亮司氏(ジャーナリスト、ジャパンプレス所属)、山崎やよい氏(考古学者|イブラ・ワ・ハイト発起人)

藤原氏、並びに山崎氏よりアレッポ社会と内戦下の様子についてご講演いただきました。

まず、山崎氏からアレッポ社会についてご講演いただきました。ご自身の23年に及ぶ在住経験に基づき、アレッポは市の中心にお城のあるとてもきれいな街であり、常にアットホームな雰囲気であったとご説明いただきました。アレッポは共存の町であり、いろんな利害関係をもちながらも人々が一緒にいることのできる場所であり、シリア人の家ではドアはいつでも開かれていて柔軟性のある人が多かったと説明されました。しかし、その一方で腐敗、強権体制からの恐怖、密告の雰囲気もまた常に街の中にあったということです。

山崎氏は「革命を自分事」として、シリアを遠い国の話でなく近い話としてとらえてほしいと述べられ講演を締めくくられました。

次に藤原氏のご講演に移りました。まず初めに、シリア社会についてシリアは政府に否定的なことを言うとすぐに拘束された密告社会であったということが明かされました。次にシリア情勢の報道について、著名なジャーナリストすらもフラットに物事を見ておらず、各国のシリアに関する報道はことごとく間違っていると強い主張をなされました。

ご自身の2012年の取材の様子を映像を用いてお話いただきました。アレッポの町ではどの地域に行っても戦闘機が飛んでおり、攻撃を仕掛けてきたことをご説明されました。反体制派に外国人ジャーナリストが取材することは可能だったという取材背景もご説明いただき、反体制派を治療した医療関係者が拘束、殺害され、病院自体もが空爆の標的と振り返られました。

最後に、藤原氏はシリア危機に関する「政権も反体制派もどちらも悪い」という意見に触れられ、どんなことがあっても強力な勢力、すなわち政権側が残虐非道なことをしてはいけないと主張され、そのような状況を強く批判されました。

 

・「報道と真実」  黒井文太郎氏(軍事ジャーナリスト)

トークセッションの最後は軍事ジャーナリスト黒井文太郎氏より、シリア内戦におけるプロパガンダとどのように情報を精査するべきかについてご講演いただきました。

まず、シリア情勢については主に二つの論調があることが指摘されました。一つは「アサド政権擁護論」で、反体制派に問題がある、そのバック(後ろ盾)のアメリカが悪いという論調で、もう一つは「アサド政権に対する反対論調」で、そのバックのイラン、ロシアを批判するものです。それだけでなく、両方が悪いという「どっちもどっち論」やISに関する論調もあることが詳細に説明されました。これらの論調について黒井氏は、「個々人の意見は自由だが、考えのもとになる情報は常に正しくなければならない」と強く主張されました。アサド派も反体制派も両方が情報戦を行っており、それぞれが自身らに都合のいい情報を流しているということが指摘されました。そのような状況の中で、情報の取捨選択のポイントとしてはどちらがより情報を隠しているかを見ることが一つの鍵となると述べられました。またSNS情報をどう見るかも難しい問題であると述べられ、権威のあるメディア(多くが政権側)を重視するのか、たくさん流れてくる情報を取り入れるのかを考える必要があると述べられました。膨大な量の中から使える情報のみをくみ取れるかがポイントであるとも話されました。その後、フェイクニュースメディアと、信ぴょう性の高いメディア(ファクトチェックを行っている)のそれぞれの具体例をご提示いただきました。

 

第三部 ディスカッション
「徹底討論:シリアはどこへ向かうのか」

岡崎弘樹氏×黒井文太郎氏×藤原亮二氏×山崎やよい氏×ナジーブ・エルカシュ氏×山田一竹

ここからは、モデレーターを山澤宗市(SSJ理事)が務め、重大で緊急性の高いトピックに沿って登壇者の方々が意見交換をするディスカッションの時間となりました。

まず初めに、シリア人ジャーナリストのナジーブ・エルカシュ氏に今回のシンポジウムの感想をお話しいただきました。日本からシリアの民主化を支援する側の知的勢力の有能さについて触れられ、今回のシンポジウムを開催した山田に感謝を示すとともに、今後シリアを動かしていき、国際社会で役割を果たしていくのは政権ではなく、シリア市民であると述べられました。また、山崎氏もシリアの人々は国を支える力があるというエルカシュ氏の意見に賛同され、コミュニティレベルで教育委員会を発足するなど、現在もシリア国内において次の時代を育てる取り組みが行われていること述べられました。

次に「アサド政権ではない場合、どの勢力ならシリアで平和を作れるのか」という議題に対して、藤原氏はいろいろな勢力がいてそれらをどのようにまとめていけるのかが分からないというのは非常に難しい現実であるということが述べられました。同じ質問に対して黒井氏はアサド政権はたくさんの人を殺したので彼らが今後も政権を持つことは困難であると考えるが、シリアの将来については現時点では明確にすることは難しいと述べられました。

「シリアへの軍事介入」については、藤原氏が外国の介入が良いわけではないが、アサド政権を看過してはならないと指摘されるとともに、シリア内戦は大国の代理戦争ではなく、アサド政権が市民を殺害しているという人道的な危機ではないかと主張されました。また、軍事介入によって状況が悪化する可能性という山澤からの問いかけに対しては、山崎氏が、情勢が悪化している現在においてその意見は真実味を持たないと述べられました。ナジーブ氏は、アメリカの軍事介入を望んでいる人が100%悪いとは思わないし、反米が正しいわけでもないと話され、岡崎氏は大きな政治構造についてまず問題があり、より大きな枠組みでの議論をするべきであると主張されました。

次に日本の政権擁護の環境についての議論に移りました。これに関してはまず山田が、SSJはしばしば政権に反対する立場から批判されており、先週の対談のセミナーの際にはSSJのFacebookポストが次々とスパム報告され削除されたことによる妨害の事実にも触れました。山崎氏は、自身のシリア在住経験やシリア人女性支援活動についてお話されるとともに、一方的に市民が悪いと決めつけられてしまうのは看過できないと述べられ、藤原氏は情報の受け手側として、情報を精査して、考えなければならないと主張されました。そして、黒井氏からは日本では政権反対の情報が2011年の時点から少なかったという事実を指摘が出されました。また、黒井氏から登壇者へ復興について問いかけがありました。ナジーブ氏は日本からの金銭的支援がどのように使われるかということを考えてほしい、またその金銭的支援の用途の透明性を改善するべきだと意見を出されました。

最後にディスカッションの話題はシリアの人々の革命に対する意識に移りました。山崎氏は、国外にいるシリア人の方々には使命感と罪悪感があると述べ、私たちはシリアの人々への「精神的支援」が可能であると思うと指摘しました。岡崎氏はシリアの若者が「何かやってやろう」という意欲があり、彼らを見るとシリアには将来を担う人材がいくらでもいると思うと述べられました。最後に山田が、私たち一人ひとりがシリア人に対するケアをすることで、彼らが将来への希望を失わないでいられると述べディスカッションは締めくくられました。

その後の質疑応答では、会場の質問を踏まえて、さらなる議論が交わされました。

 

閉会挨拶

閉会挨拶では、山田より、革命に立ち上がり犠牲となった人々に対して「30秒の黙祷」が呼びかけれ、会場において追悼が行われ、8年という歳月の中で亡くなられた人々の命と想いを馳せる時間となりました。

 

*****

SSJでは、年に2-3度シンポジウム(セミナーではなく大きなイベント)が企画さています。今回の特別シンポジウムが、2018年度最後のシンポジウムとなりました。約100名の多くのお客様にご来場いただき、SSJ一同ご来場いただいた皆様に心からの感謝を申し上げます。

本シンポジウムで、ご登壇者の方々が口になさったようにシリアの人々を「気にかけること」、「彼らに寄り添うこと」がシリアの人々の未来を支える何よりも強力な「支援」となります。今回のシンポジウムにご来場いただいた方、このレポートをお読みくださった方、皆様、どうか私たちと共に今後もシリアの人々へ寄り添いつづけてください。

 

ご来場いただいた皆様、また、本イベントの情報拡散くださった皆様、重ねて心よりお礼申し上げます。ご登壇者の皆様、運営ボランティアスタッフにもこの場をお借りして感謝を申し上げます。

そして、本シンポジウムは、自由、正義、尊厳という「人間としての権利」を求める革命(サウラ)に立ち上がり犠牲となったすべてのシリアの人々に捧げられます。

2018年3月30日

シリア革命8周年特別シンポジウム:−自由への道のり。真の解放を求めて−

Stand with Syria Japanでは、シリア革命から8年という節目を考える特別シンポジウムを開催いたします。

 
◇趣旨・内容
2011年3月に平和的革命に立ち上がったシリア国民は、8年に及ぶ殺戮と破壊に晒された。50万の犠牲者、1100万の避難民、20万以上の失踪者を生んだ、「今世紀最悪の人道危機」は決して過去の出来事ではない。新たな年を迎えて早々の2月、イドリブやハマ地域の市民は、地獄のような日々を生かされた。連日連夜続く爆撃や国際的に禁止された非人道兵器により幼い子どもを含む大勢の人びとが焼き尽くされた。シリア革命から8年という節目に際して開催される本特別シンポジウムでは、各方面で活躍する専門家を迎え、この8年を時系列的に振り返り、さらに、終わらない悲劇の中を生きるシリア市民が求め続ける真意を考え、シリアの未来を徹底的に議論する企画である。「革命と内戦は何だったのか」、「シリアで何が起きているのか」、「シリアはどこへ向かっているのか」、「シリアに平和はもたらされるか」、「今、人びとが求めているものとは」という緊急性の高い問いを来場者と共に考えたい。
また、本シンポジウムは、自由と尊厳という「人間としての権利」を求め立ち上がったシリア市民、そして8年に及ぶシリア危機で犠牲となった全ての人びとに捧げられる。
 
◇プログラム
13:30 開場・受付 
14:00 開会挨拶 Stand with Syria Japan理事 山澤宗市

第1部 革命
14:05 「サウラの記憶:恐怖と沈黙の壁を越えて」
山田一竹(Stand with Syria Japan代表)

14:25 「<内方浸透>に抗うシリアの記録映画」
岡崎弘樹(アラブ近代政治思想・シリア文化研究)

14:55 休憩

−特別登壇企画−
15:05 「革命は終わらない」 “シリア人特別ゲスト” [スカイプ登壇]

第2部 内戦
15:50 「失われた故郷:アレッポで見たもの」
藤原亮司(ジャーナリスト|ジャパンプレス所属)
山崎やよい(イブラ・ワ・ハイト発起人、考古学者)

16:30 「シリア内戦:報道と真実」
黒井文太郎(軍事ジャーナリスト)

17:00 休憩

第3部 ディスカッション
17:10 「徹底討論:シリアはどこへ向かうのか」
岡崎弘樹×黒井文太郎×藤原亮司×山崎やよい×ナジーブ・エルカシュ×山田一竹
モデレーター:山澤宗市

18:10 会場との質疑応答
18:40 閉会

※プログラムはやむを得ない事情により変更する可能性がありますこと、予めご了承ください。

 
◇ 日時:2019年3月23日(土)14時00分~18時40分
(開場:13時30分)
◇ 会場:早稲田奉仕園リバティホール(最寄り駅: 東京メトロ東西線:早稲田駅|東京メトロ副都心線:西早稲田駅)
https://www.hoshien.or.jp/map/
◇ 定員:100名(先着順)
◇入場料:1500円
シリア女性自活支援プロジェクト「イブラ・ワ・ハイト」の『くるみボタン』付き。ボタンはシリアの女性が手作りで一つひとつ、一針ひと針に想いを込めたシリアの温もりを感じられる素敵な作品です。シリア支援に繋がります。
※ 種類はこちらで選ばせていただくことを予めご了承ください。
 
◇予約不要:直接会場にお運びください
 
◇主催:非営利団体 Stand with Syria Japan – SSJ
お問い合わせ:info@standwithsyriajp.com
 
—登壇者プロフィール(登壇順)—
岡崎弘樹
専門はアラブ近代政治思想・シリア文化研究。中部大学非常勤講師。2003年から2009年にかけて仏研究所研究員や日本大使館の政務アタッシェとしてダマスカスに滞在。2016年にパリ第3大学アラブ研究科で社会学博士号取得。最近は1970 年代以降のシリアの監獄文学や政治演劇、記録映画にも研究対象を広げ、学会発表に加え、各種シンポジウムの基調講演やシリアの演劇・映画の解説なども行っている。最新の論文に「シリアの記録映画に描かれる<崩壊>の経験−記憶、表象、他者をめぐる創造空間」『唯物論研究年誌第23号 21世紀の<マルクス>』大月書店。

藤原亮司
ジャーナリスト(ジャパンプレス所属)。1967年、大阪府生まれ。1998年からパレスチナ問題の取材を行い、シリア、レバノン、コソボ、アフガニスタン、イラク、ヨルダン、トルコなどにおいて「紛争地に生きる人びと」を中心に紛争難民問題を取材。国内では在日コリアン、東日本大震災や原発被害の取材を行っている。著書に『ガザの空の下――それでも明日は来るし人は生きる』(2016年、dZERO(インプレス))。

山崎やよい
考古学者。シリア女性の自活支援プロジェクト「イブラ・ワ・ハイト」発起人。1989年よりシリア第2の都市アレッポをベースに活動を続ける。テル・アバル、テル・コムロック発掘調査、テル・ハディヤ発掘調査、テル・ベイダル発掘調査、アインダーラ神殿遺跡修復事業などに参加し、シリア国立アレッポ大学考古学科講師を歴任。20年以上を暮らしたシリアからの帰国後も、シリアについてメディアやブログで発信と解説を続けている。

黒井文太郎
横浜市立大学国際関係課程卒業。講談社編集者を経てフリーランスの国際紛争専門フォトジャーナリストとして活動。ニューヨーク、モスクワ、カイロに居住し、紛争地取材を行う。その後、月刊『軍事研究』特約記者、『ワールド・インテリジェンス』編集長などを経て、軍事ジャーナリスト。シリア内戦に関しても積極的な発信、分析を行っている。
主な著書に 『イスラムのテロリスト』(講談社:2001年)、『世界のテロと組織犯罪』(ジャパンミリタリーレビュー:2001年)、 『日本の情報機関』(講談社:2007年)、『ビンラディン抹殺指令』(洋泉社:2011年)、 『イスラム国の正体』(講談社:2014年)など軍事・インテリジェンスに関する著書多数。

ナジーブ・エルカシュ
シリア人ジャーナリスト、リサーラ・メディア代表。1973年シリア生まれ。1997年に来日。東京大学大学院、名古屋大学大学院にて映画理論を研究。1998年から日本や北東アジアを取材し、アラブ諸国やヨーロッパのメデイアに取材を配信。日本のテレビ番組にも多数出演(BS-TBSの『外国人記者は見た!』、東京MXテレビの『モーニング・クロス』、テレ朝の『世界が驚いたニッポン!』、日本テレビの『NEWS ZERO』など)、さらに文化交流の分野にも活動してる(東京アラブ映画祭の企画アドバイザーなど)。

山田一竹
Stand with Syria Japan代表。東京大学大学院総合文化研究科「人間の安全保障」プログラム修士課程在籍(ジェノサイド研究)。2014年 英国FIEにて紛争分析・解決プログラム修了、現地の難民支援団体にて支援活動に当たる。2017年 非営利団体「Stand with Syria Japan」設立・代表就任。日本におけるシリア危機の関心向上と意識変革を目指した活動を展開すると同時に、シリアにおける集団抹殺と市民革命について研究。

 
 
◆会場での物販紹介
⑴「イブラ・ワ・ハイト」製品
イブラ・ワ・ハイトは、山崎やよいさんを中心に2013年に始動したプロジェクトです。泥沼のシリア紛争で家、仕事、一家の大黒柱、 そして社会インフラなどの生活基盤のほぼすべてを失ったシリア人 女性たちに「針と糸」で収入の道を開く「自活支援」 プロジェクトです。女性たちの独自の技術を活かすべく手芸・刺繍資材を提供し、 製品を適性価格で買い取り、日本等で販路を開拓することで、「針と糸」で収入の道を開くことを目的とされています。
刺繍や作品の一つひとつはシリア女性により丹念に手作りされており、ひと針ひと針に、女性たちの「様々な想い」や「願い」 が込められています。
当日は、出回っていない特別な製品も販売されます!
⑵エイハム・アハマド アルバムCD「ヤルムーク 希望の音楽」
4月に日本に初来日した「シリア 戦場のピアニスト」として知られるエイハム・アハマドさんのアルバムCDとなります。エイハムさんはヤルムーク難民キャンプの瓦礫の中で、人びとを励ますために戦火の中ピアノの弾き語りを続けました。曲は、亡くなった友人がエイハムさんに託したものや、故郷を想ったものです。エイハムさんは「このアルバムCDは、ただ平和に生きることを願う、僕の声なき仲間たち全てに捧げられます」と語られました。
今回は特別価格での販売となります!
 
物販は全てシリアの人びとの直接支援につながります。ぜひ会場でお求めください!
SSJ、2018年度最後のイベントとなる本シンポジウムでは、各方面で活躍される専門家をゲストにお迎えし、それぞれのご専門から質の高いご講演をいただくと同時に、シリア危機を懸命に生きる人びとの「現在と未来」を徹底的に議論する大変重要な機会となります。
「シリアで何が起きていたのか」、「今、シリアはどこへ向かっているのか」、「人びとが求めるものとは」。共に考えませんか?
スタッフ一同、皆様のお越しをお待ち申し上げております。

【10月27日開催】シリア −引き裂かれた命、過去と未来−「アレッポ最後の男たち」上映会・シンポジウム

Stand with Syria Japan – SSJ では、10月27日(土)に、シリア危機をそこに生きる人びとの視点で考える映画上映シンポジウムを開催します

8年目のシリア危機は、戦闘的な側面からは終息に近づいているという見方から、日本を含めた国際社会や大国が「復興」へ向け、舵を切り始めています。
しかしながら、シリアでは現在も組織的な殺戮と破壊が続き、この瞬間にも尊い命が奪われており、今日も故郷への帰還が叶わない人びとがいます。そのような状況下でも、今も多くの市民が尊厳を求めて抗議を続けています。
本シンポジウムは、このような「転換期」に、この8年の悲劇を振り返り、そして、シリアの未来を共に考える機会となります。

概要

◇プログラム(開場12時30分)13時00分 開会
開会挨拶・趣旨説明:Stand with Syria Japan 代表 山田一竹|理事 山澤宗市- 映画特別上映 –
13時10分 映画特別上映
「アレッポ最後の男たち(Last Men in Aleppo)」
14時55分 休憩- トーク・セッション –
15時05分 藤原亮司氏(ジャーナリスト・ジャパンプレス)
15時25分 質疑応答
15時40分 休憩
15時45分 バラ・アル=ハラビー氏(シリア人フォトジャーナリスト)*スカイプ登壇
16時25分 質疑応答
16時45分 休憩- 映画製作・撮影者とのスカイプ・セッション –
16時50分 ファディ・アル=ハラビー氏
(シリア人フォトグラファー・「アレッポ最後の男たち」撮影監督)
17時30分 質疑応答17時50分 総括 「連帯という希望」 Stand with Syria Japan 代表 山田一竹
18時10分 閉会

◇イベント概要
終息に近づいていると言われるシリア危機。国際社会や大国が「復興」へ向け、舵を切り始めた。しかしながら、シリアでは現在も組織的な殺戮と破壊が続き、この瞬間にも尊い命が奪われている。そのような状況下で、今も多くの市民が尊厳を求めて抗議を続けている。このような「転換期」にこそ、この8年の悲劇を振り返り、そして、シリアの未来を共に考えなければならない。当日は、ドキュメンタリー映画「アレッポ最後の男たち(Last Men in Aleppo)」(2017)を特別上映する。2015年から包囲下のアレッポ東部で撮影された本作は、これまでノーベル平和賞にノミネートされるなど、その人道性を国内外から高く評価されている「ホワイト・ヘルメット」のメンバーに光を当てており、悲劇の中でも懸命に生きる選択をする彼らの様子が見事に描き出された作品である。「ホワイト・ヘルメット」はテロリストであるというプロパガンダ的言説が広がる中、彼らの誇り高き人間性に迫ると同時に、この8年間、シリアの市民が過酷な状況で暮らすことを強いられてきた真実と、苦しみながらもそこを生き抜く人びとの真の姿を知ることができる。
トークセッションのゲストには、シリアを取材されたジャーナリストの藤原亮司氏(ジャパンプレス)、この作品が撮られた際にアレッポで活動していたシリア人フォト・ジャーナリスト バラ・アル=ハラビー氏を迎え、それぞれの取材に基づき、シリアの未来に思うことをお話しいただく。
さらに「アレッポ最後の男たち」の撮影監督である、ファディ・アル=ハラビー氏と会場をスカイプで繋ぎ、撮影の背景、映画の秘話、ホワイトヘルメットに対するプロパガンダ、彼らが作品に託した想いなど映画製作の裏側のお話をうかがう。また、ファディ氏はシリア国内で活動しているため、現状についても報告を得る。

本シンポジウムは、当事者であるシリア人を中心に据えることを最大の目的とし、「復興」という都合の良い言葉で彼らの存在が置き去りにされようとする中、綺麗事では済まされない現実に命懸けで抗う人びとの声に耳を傾ける。
また、当日会場に集うことで、日本に暮らす私たちの「シリア危機を生きる人びとへの連帯」、「尊厳を求め続ける人びとへの連帯」を示す。

シリアの人びとに寄り添いながら、シリアの過去を振り返り、そして共に未来を考えたい。

 

◇ 日時:2018年10月27日(土)13時00分~18時10分(開場:12時30分)
◇ 会場:東京大学駒場キャンパス 18号館1階ホール(最寄り駅: 駒場東大前駅)
https://www.u-tokyo.ac.jp/campusmap/cam02_01_17_j.html
◇ 定員:190名(先着順)

◇入場料:1000円
→ シリア女性自活支援プロジェクト「イブラ・ワ・ハイト」の『くるみボタン』付き。ボタンはシリアの女性が手作りで一つひとつ、一針ひと針に想いを込めたシリアの温もりを感じられる素敵な作品です。シリア支援に繋がります。
※ 種類はこちらで選ばせていただくことを予めご了承ください。

◇予約不要
:直接会場にお運びください

◇主催:Stand with Syria Japan – SSJ
◇後援:UNHCR駐日事務所

◇「アレッポ最後の男たち」
監督 :フィアース・ファイヤード
製作国:デンマーク、シリア
製作年:2017年
上映時間:104分
言語:アラビア語(日本語・英語字幕)
受賞:2017年サンダンス映画祭ワールド・シネマ ドキュメンタリー・コンペティション部門審査員大賞グランプリ、2018年(第90回)アカデミー賞長編ドキュメンタリー部門ノミネート、2018年エミー賞最優秀時事ドキュメンタリー賞(Outstanding Current Affairs Documentary)受賞。

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・映画あらすじ
2015年−2016年冬、シリアのアレッポ東部は政権軍と同盟勢力から一層激しい攻撃にさらされた。爆撃は昼夜を問わず続き、罪のない子供や大人が無残に殺されていく。人々が逃げ惑う中、瓦礫の中から生存者を救うため、危険を顧みず爆撃地に向かう「ホワイト・ヘルメット」隊員たち。傷つきながらも人びとを助け出す彼らは時にヒーローとして語られる。しかし、彼らが見つめる先には、息絶えた赤ん坊、バラバラになった遺体、冷たくなった子供を抱き寄せ泣き崩れる父親。そして、彼らにもまた、愛する家族がいる。アレッポへの包囲攻撃が強まり、家族にも危険が及ぶ中、そこには、故郷に留まり活動を続けるべきか苦しみ抜く彼らの姿があった。
本作品は、シリア最前線「ホワイト・ヘルメット」隊員の苦悩と葛藤を丹念に描いた、我々の想像をはるかに超える愛と勇気の物語である。

 

◇登壇者プロフィール (登壇者は都合上変更となる可能性があることを予めご了承ください)

・藤原亮司 氏
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ジャーナリスト(ジャパンプレス所属)。1967年、大阪府生まれ。1998年からパレスチナ問題の取材を行い、シリア、レバノン、コソボ、アフガニスタン、イラク、ヨルダン、トルコなどにおいて「紛争地に生きる人びと」を中心に紛争難民問題を取材。国内では在日コリアン、東日本大震災や原発被害の取材を行っている。著書に『ガザの空の下――それでも明日は来るし人は生きる』(2016年、dZERO(インプレス))。

 

・バラ・アル=ハラビー氏
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アレッポ出身シリア人フォトグラファー(フォトジャーナリスト)。2011年にシリアで革命が始まったことでフォトグラファーとしての仕事を開始する。当初はアレッポ各地で行われていたデモの記録写真を撮り、インターネット上に投稿していた。2011年6月にアサド政権に拘束されるが、保釈金を払い一ヶ月後解放される。自由シリア軍がアレッポ市に入ってからは、ブスターン・カスル地区に移り住み、政権の侵害行為やアレッポ東部への空爆などを毎日記録し続ける。2016年にアレッポが封鎖されたのち、イドリブ郊外に移り、その後トルコに移り、さらにフランスへ政治亡命。2013年から2016年末までAFPで働いた。2015年にアラブ世界研究所の最優秀報道写真賞(アル・フジャイラ)を受賞。

 

・ファディ・アル=ハラビー氏
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アレッポ出身シリア人フォトグラファー(シネマトグラファー)。1994年生まれ(24歳)。2011年よりフォトグラファーとしての活動を開始し、主に紛争状態となったアレッポを撮影。2012年、国際的メディアへ記録写真と映像を提供する「アレッポ・メディアセンター」(AMC)を共同設立。傷つく市民の様子を世界に伝え続けると同時に、ホワイト・ヘルメットの活動の様子を記録し続ける。2013年から2016年末までAFP所属のもと活動に当たる。現在もフリーランスとしてCNN, BBC, Channel 4など国際的メディアに従事している。
ホワイト・ヘルメット隊員を追ったドキュメンタリー『ホワイト・ヘルメット -シリアの民間防衛隊-』(2016)の映像撮影を担当。この作品で2016年度(第89回)アカデミー短編ドキュメンタリー賞を受賞。2015年の秋から『アレッポ最後の男たち』の映像監督を務める。2017年4月4日に起きたシリア北部ハーン・シャイフーン村への化学兵器攻撃の現場に駆けつけ、被害の状況をいち早く世界へ発信。この映像はCNNより『Syria: Gasping for Life in Khan Sheikhoun』(2017)として放映され、この報道映像で2018年エミー賞最優秀重大ニュース放送賞(Outstanding Hard News Feature Story in a Newscast)を受賞。
・山崎やよい 氏 (通訳)
考古学者。シリア女性の自活支援プロジェクト「イブラ・ワ・ハイト」発起人。1989年よりシリア第2の都市アレッポをベースに活動を続ける。テル・アバル、テル・コムロック発掘調査、テル・ハディヤ発掘調査、テル・ベイダル発掘調査、アインダーラ神殿遺跡修復事業などに参加し、シリア国立アレッポ大学考古学科講師を歴任。帰国後もシリアについて、メディアやブログで発信を続けている。

・山田一竹
Stand with Syria Japan – SSJ 代表。東京大学大学院 総合文化研究科「人間の安全保障」プログラム修士課程在籍(ジェノサイド研究)。1993年生まれ(25歳)。2016年 立教大学異文化コミュニケーション学部より学士号取得。2014年 英国高等教育機関 Foundation for International Education にて紛争分析・解決プログラム修了、現地の難民支援団体にて支援活動に当たる。2017年 非営利団体「Stand with Syria Japan」設立・代表就任。日本におけるシリア危機の関心向上と意識変革を目指した活動を国内外で展開している。

 


Facebook イベントページhttps://www.facebook.com/events/492509474485995/

 

 

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終戦(敗戦)の日に寄せて —シリア危機:問われる私たちの「人道」

終戦(敗戦)の日に寄せて

—シリア危機問われる私たちの「人道」


Stand with Syria Japan 代表
東京大学大学院総合文化研究科

「人間の安全保障」プログラム
山田一竹

 

1945年8月15日、長い戦争が終わった。日本において310万人以上、アジア全域で2,000万人以上、世界では6,000万人以上、統計によっては7,000万人以上が犠牲となった「第二次世界大戦」である。日本では、毎年この時期になると、戦争に関する様々な特番が組まれ、生存者の証言がメディアに登場する。各地において追悼セレモニーが執り行われ、多くの人が平和を祈念する機会となる。このように多くの日本に暮らす人々が平和や戦争に想いを馳せることは非常に重要である。私自身、祖母が大戦経験者であり、その体験談が私を平和研究へと導いたため、8月15日には特段の思い入れがあり、黙祷を欠かさない。
とは言うものの、どうしても気がかりなことがある。それは、この8月に限り、日本だけの「平和」について考え、過去の「戦争」の惨たらしさについてのみ考えるという「内向性」と「限定性」である。

凄惨な大戦から72年が経った現在、世界はまるで72年前に逆行するように、不和と分断、憎しみや怒りに覆われている。シリアでは、2011年3月より自由と尊厳そして正義を求めた平和的なデモが内戦へと突入し、はや6年が経過している。死者数が47万人を超えたという統計(Syrian Centre for Policy Research)もあり、これまで480万人以上が家を追われて難民となった。2011年以前は79.7歳あった平均寿命も現在は55.7歳を切っていると言われている。

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©Fadi Al-halabi | A Photographer from Syria | My Sincere Thanks to Dear Friend Fadi for the Powerful Pictures.

まさに廃墟と化したシリアにおいて、人々が爆撃の被害に遭い、命懸けで海を越えている様子は皆さんも一度は報道などを通して目にされたことがあると思う。それでも、人々の祈りがシリアの危機的状況に向けられることは極めて少ないと感じる。多くの人にとって、どれだけの人が爆撃で死んでいっても、「どこか遠い国で起こる野蛮な戦争の可哀そうな犠牲者」としてしか映らず、あくまで「他人事」なのであろう。

無論、シリアは物理的にも遠く、そもそも日本にとって馴染みの無い国であるから「自分事」として捉えろという方が無理矢理な要求だとも思う。私自身、日本とシリアの状況は余りにもかけ離れていることを痛感しているし、「自分事」として考えられない人々を責めることはできない。
それでも、現実として、人類史上でも最悪の分類に入るであろう「人道危機」が同じ世界で起きていて、多くのシリアの人々がこの瞬間にも無残に死んでいっていることを知っているにしては、日本における反応は余りにも薄い。
そこにはおそらく心理的要因が大きく働いているのではないだろうか。私自身、ここまで原稿を書く上で犠牲者を単なる「数」として表象、いや切り捨ててきた。これは、私にとって大きな苦痛が伴う作業である。それは、犠牲者数の裏には、そこに生きた一人ひとりの「個の生」が存在しているからである。

日本におけるシリア危機に関する報道のほとんども、戦況や大国の意向など国際政治を主軸にしたものである。もちろんこういった報道はとても重要で有益である。しかし、そこから膨大な犠牲者数の裏にある一人ひとりの姿を想像することは難しい。

皆さんは想像してみたことがあるだろうか。

An Event for Syria was Held in Tokyo. Over 450 People were Standing with Syria. 【English:العربية】

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Our event for Syria on Dec. 23rd, 2016 finished with a great success in Tokyo, Japan.  We faced the Syria crisis in all sincerity.
We took this opportunity to consider (and reconsider) about the crisis in Syria from many different aspects; screening a documentary film called Silvered Water, Syria Self-Portrait (2014 by Ossama Mohammed), a commentary from a scholar of Arabic literature; Prof. Kaoru Yamamoto,

IMG_5475 a talk from the photographer; Mr. Shin Yahiro who served with the Free Syrian Army

IMG_5476and a talk from a Syrian who became a refugee about his dear homeland Syria and his very difficult experiences in Japan.

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Also, we relayed with a member of White Helmets  (One of the bravest civil organizations of our time); Mr. Ismail Alabdullah via Skype during the event. He told the audience about the frightful situation in Aleppo.

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On the day, a great number of people, 420  people gathered for Syria.

IMG_5472Although Japan is quite far away from Syria, we always keep thinking of Syria. We are feeling your pain. Please keep your hopes up. Please stay alive. We are here standing with all of you.
Again, I thank you so much for each one of you who came out to my event on the day.
I strongly hope this year 2017 will be a peaceful year for all Syrian people who are suffering right now… and I also hope they will be able to gain the freedom, which they have been seeking for a long time…

With all my respect for those who went before us to gain the dignity to be human, Rest in Peace.

الحدث الذي أقيم في الثالث و العشرين من ديسمبر من أجل سوريا لاقى نجاحا كبيراً و واجهنا الأزمة السورية بكل صدق .
وقد ناقشنا الأزمة السورية بطرق مختلفة منها:
١-عرض فيلم وثائقي عن سوريا
٢- شرح للأحداث عن طريق مختص في أدب اللغة العربية
٣-محادثة مع أحد المصورين التابعين للجيش السوري الحر
٤-محادثة مع أحد اللاجئين السوريين في اليابان التي تناولت قصة مغادرته لوطنه سوريا و الصعوبات العديدة التي وجهها في اليابان.
تحدثنا أيضاً خلال الحدث مع أحد أعضاء White Helmets (القبعات_البيضاء )
عبر سكايب فوصف للجمهور الوضع المأساوي و المرعب الحاصل في مدينة حلب. و تحدث أيضا عن تفاصيل الحصار التي واجهتها حلب الشرقية.

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وقد أعرب عن مطالبه كما قال” نحن لا نريد طعام أو شراب. نحن نريد حرية كالشعب الياباني”
و أريد أن أتوجه له شخصياً بشكر جزيل لمشاركته معنا لهذه المعلومات القيمة.
وقد حضر الحدث أكثر من أربعمئة شخص من أجل سوريا. على الرغم من أن اليابان بعيدة عن سوريا ولكن نحن دائما نفكر و نهتم بالقضية السورية.
و أريد القول للشعب السوري أننا الشعب الياباني نشعر بآلامكم و نرجو أن لا تستسلمو و لاتتخلوا عن الأمل أبداً. إبقوا على قيد الحياة و سنفعل المستحيل لأجلكم.
و أخيراً أشكر جميع الذين حضروا هذا الحدث و كل من ساعدني للوقوف من أجل سوريا.
أتمنى من كل قلبي أن تكون سنة ٢٠١٧ سنة سلام لكل السوريين اللذين يعانون الآن، وأتمنى أيضاً أن يحصلوا على الحرية التي لازالوا يطالبون بها منذ وقت طويل و حتى الآن.

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رحمة الله على شهداء سوريا
إرقدوا بسلام

#StandwithSyriaJapan
Arabic Translation by Yasser Jamal Al Deen.
This event is now uploaded on YouTube : 【 https://youtu.be/7hYT1mpB09c

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開催を経て…今シリアに寄り添うということ。

講演会の様子_7932

2016年12月23日(金)、私が企画して参りました「シリア−戦火と愛の慟哭…その狭間を生きる命『シリア・モナムール』上映会・講演会」を盛会裏に終えました。『シリア・モナムール』上映、山本薫氏によるアラブ文学・文化を織り交ぜた深い解説、八尋伸氏のシリアでの従軍取材経験、難民となり日本に逃れたジャマール氏のこれまでの歩みと複雑な想いなど、非常に多角的にシリアを考え、真摯に問題に向き合いました。

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また、当初の予定を変更しまして、現在アレッポにいる「ホワイト・ヘルメット」の隊員とSkypeで繋ぎ、包囲下の様子、避難後の状況をリアルタイムで伝えていただきました。どうしてもイベント内でシリア現地の人々の声を皆さまに届けたいと、イベント開催3ヶ月前からあらゆるコネクションを駆使して、シリア国内にいる人々にイベント登壇を交渉しておりました。しかし、その矢先アレッポが陥落、交渉は困難を極めました。その様な中、ある意味で奇跡が起こり、私の発表の5分前に「ホワイト・ヘルメット」隊員から「Skypeができる」との連絡が入りました。彼はアレッポの凄惨な状況を訴えながらも、「私達が欲しいのは、資金や食糧では無い。欲しいのは自由だ。あなた達日本人が手にしている自由だ」と訴えました。この言葉の重みを私たちは改めて胸に刻む必要があります。

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本イベントでは、膨大な犠牲者数に埋もれてしまった一人ひとりの個々の存在に光を当てることを試みました。それは、シリアでの出来事が、そしてシリアを生きる人々の存在が、日本において「遠いどこかの『物騒』な国で起きている『不幸』」として伝えられ、認識されていると痛感したからです。
彼らは、私たちと同じ尊厳のある人間ではないのでしょうか?人間が人間らしく生きること。「ホワイト・ヘルメット」の隊員がそう訴えたように、自由と誇りを持ち人間らしく生きたいと願うことはそんなに野蛮なことでしょうか?彼らが爆撃で木っ端微塵になっても、化学兵器で息ができなくなって死を迎えても、拷問によりなぶり殺されても、それは彼らの責任なのでしょうか?この内戦で死んでいった人、祖国を追われた難民、難民になることも許されず海の藻屑となった人、武器を取り抵抗せざるを得なかった人、今日を必死で生き延びようと逃げ惑う人、みんな命です。その重みは、国や宗教や思想で変わるはずもなく、彼らが流す血も、裕福な国の有力者が流す血も、私たちが流す血も同じ色です。命に格差があってはならない。限りなく不平等なこの世界で、これだけは守られなくてはならない平等なのだと、私は強く思います。

当日、沢山の方がシリアのために集いました。イベントにお越しいただいた理由も皆さんそれぞれ違うと思います。当日感じたことも、それぞれにあると思います。それでも、あの日会場はシリアと共にありました。美しいシリア、抵抗するシリア、壊滅したシリア。そして、移り行くシリアの中で、懸命に生きる命の存在。その命が私たちと同じ尊厳のある命であるという紛れもない事実。シリアは今、最も困難な状況にあると言えます。まだ尚、そこに生きる人は痛めつけられ、絶望の淵に追いやられています。シリアの熾烈な状況を変える力は私たちにはないのかもしれません。それでも、そこに懸命に生きる命がある限り、私たちは苦しみを生きる彼らに寄り添い、彼らの「生きる希望」となることはできるのではないでしょうか。この希望はとても小さなものですが、空爆では壊されない、そして私たちが諦めない限り生き続ける強いものだと思います。
街を彩るクリスマスムードとは掛け離れた内容となりました本イベントですが、現在の日本がいかに「平和」であるか、そのありがたみを噛み締めながら、シリア危機を今までより少しでも身近な問題として捉え、今後もそこに生きる人々の痛みと希望を想い続けていただけることを願っています。日々の生活でご多忙であるとは思いますが、それでも、ほんの少しでも彼らに想いを馳せてください。一人でも多くの人に、このイベントを通して知ったこと、感じたことを伝え続けてください。
当日は運営や通訳等、至らない点が多々ありましたことをお詫び申し上げます。私は、シリアで多くの若者が立ち上がっていることと同様に、日本でも大学生という若い世代が立ち上がり、出来うる限り学生だけでイベントを運営することに意味があると思っております。ご指摘いただきました点はしっかり改善をしつつ、今後も未熟ではありますが、若い世代が発信することに拘りを持ち、大切な仲間と共にイベントを運営して参ります。
最後に、シリア内戦において犠牲となった30万人の命。この中に、尊厳を保ちつつ人としての最期を全うできた命がどれだけあったのでしょうか。弔われることの無い尊い命の存在を、私たちは決して忘れてはならないのです。
すべての内戦の犠牲者と、シリアを生きる全ての人々の無事を願い、愛と哀悼の意を捧げます。

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Our prayers and thoughts are with all Syrians who sacrificed their precious lives to gain the dignity.

2017年1月3日 主催者代表 山田一竹

 


当日のプログラム

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シリア危機に想いを馳せて 。

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2016年12月23日に開催いたしました「シリア−戦火と愛の慟哭…その狭間を生きる命『シリア・モナムール』上映会・講演会」における代表者山田一竹によるメッセージとなります(当日の配布資料の一部)。  ※一部編集済み

 


この度は、お忙しい中「シリア−戦火と愛の慟哭…その狭間を生きる命『シリア・モナムール』上映会・講演会」にお越しいただきまして、誠にありがとうございます。現在、シリア危機は、今まで以上の難局に直面しております。今年に入り、革命の都市と呼ばれたダーリヤ(DARAYYA)が政府軍により制圧されました。そして、激戦が続いていたシリア北部に位置するアレッポ東部もついに政府軍に制圧されました。2016年12月15日アサド大統領はビデオ声明でアレッポに対する勝利宣言を発表しました。そして人々の「退避」が始まった様子をニュースでご覧になった方も多いと思いますが、現在政府軍側が反体制派に関係したと見られる市民を次々処刑しているという情報も入っています。国連はアレッポで起こる重大な人権蹂躙に対して警鐘を鳴らしています。国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)は、政府軍やアサド派の民兵が市民を殺害した証拠も発表しています。この様な状況下で人々は日々、極限状態に晒されています。アレッポ制圧の直前には、多くの市民がSNSを通じて「最後のメッセージ」発信しました。

「私たちの命を助けてください。アレッポを救ってください。私たちは殺されています。」

「助けてください」という最期の言葉は誰に向けられ、誰に届いたのでしょうか。同じ時代を生きる同じ人間が、どうしてここまで痛めつけられ、踏みにじられなくてはならないのでしょうか。自分の無力さに怒りすら覚えます。それでも、「イベントを開催し、一人でも多くの方に足を運んでいただき、シリアの惨状に想いを馳せ、そして何より彼らの痛みに触れていただく」、これが、今の私に出来る精一杯のことだという思いから、当イベントの企画を進めて参りました。シリアの圧倒的な惨状や人々の悲痛な叫びに眠れない日もありますが、私は、彼らの叫びを受け取った人間としての責務を果たしていかなければならないと思っています。

遠いに日本暮らす私たちには何もできないと思っていませんか。確かに私たちには紛争を解決する力はないのかもしれません。でも、私たちには「彼らを知り、彼らに想いを馳せること」はできるはずです。私のシリア人の友人は「ただ忘れないでいてほしい」と静かに言いました…。内戦は5年以上にわたっています。国際社会が有効な解決策を見出せない中、人々は今、絶望の淵に追いやられながらも細やかな希望を見出して、一日一日命を繋いでいます。どれほど、不安な日々でしょう。どれほど、辛く苦しい日々でしょう。その様な中で、遠い国で自分たちのために祈り、立ち上がってくれる人々がいることにどれだけ励まされることでしょうか。今日、私たちは、遠い日本でこうして集い、シリアを想っています。「私たちはシリアを見捨ててはいない」という連帯を示しています。

シリア内戦に伴う死者数は30万人を超え、400万人を超える人々が難民として避難を余儀なくされました。想像してみてください。朝、起きて空爆であなたの家に爆弾が降り注ぐことを、目の前であなたの家族が爆撃されることを、あなたの愛する人にお別れの言葉も「ありがとう」の言葉も伝えることができないことを。そして、愛する故郷を離れなければならないことを…。それが430万人を超える人々に現実として起きているのです。彼らは、私たちと同じ人間です。尊厳のある人間です。日々飛び交う報道の裏にある、彼らの痛みを感じてください。彼らの命の叫びをどうか無駄にしないでください。そして忘れないでください。彼ら一人ひとりに掛け替えのない人生があり、大切な家族がいて、そしてシリアは彼らの愛する故郷であるということを。彼らは、私たちが今当たり前に手にしているものを求め続けているということを。彼らが希望を捨てていない限り、私たちもまた希望を捨ててはなりません。

私はいつの日かシリアに平和が訪れ、人々が尊厳を持って当たり前に生き、そして、当たり前に尊厳のある死を迎えられる時が来ると信じています。その時まで私は諦めません。どうか皆様も、苦しみもがきながら、生きたくても生きられなかった命の重さを、そして、恐怖に怯えながらもシリアの今を懸命に生きる、尊い命の鼓動を胸に刻み、これからもシリア危機に向き合い続けて下さい。どうか、今日ここでの想いを一日限りにしないで下さい。

本日は、誠にありがとうございました。改めまして御礼申し上げます。今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。

 

シリア内戦で犠牲となった全ての人へ心からの愛と哀悼を込めて。

2016年12月23

主催者代表 立教大学異文化コミュニケーション学部 山田一竹


 

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【12月23日開催】「シリア−戦火と愛の慟哭…その狭間を生きる命『シリア・モナムール』上映会・講演会」| 同時開催写真展

15168776_1348059461894893_2041274299590019146_o皆さま、大変ご無沙汰しております。
立教大学異文化コミュニケーション学部の山田一竹です。

皆様、お変わりはありませんでしょうか。
「今、等身大で彼らに向き合う『それでも僕は帰る シリア 若者たちが求め続けたふるさと』上映会・討論会」を開催してから、早くも一年が経とうとしています。あれから一年…残念ながら、シリアを巡る状況は熾烈を極め、混迷の一途を辿っています。シリア内戦に伴う死者数が30万人を超え、400万人を超える人々が難民として避難を余儀なくされました。シリアでは、今この瞬間にも尊い命が燃え尽きています。

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前回のイベント終了時より、第二弾の企画を進めてきました。「シリアはどこへ向かっているのか、そこに生きる命の鼓動とは…」僕はシリアに、彼らの愛する故郷に向き合い続けてきました。時には、あまりにも凄惨な状況に眠ることすら出来ないこともありました。ドロ沼化が止まらず、解決の糸口すら見えない状況に遣る瀬なさと無力感でいっぱいになる事もありました。それでも僕はここで立ち止まるわけにはいかないのです。「膨大な犠牲者数の裏にある、一人ひとりの姿、物語に想いを馳せ、彼らの痛みを忘れないでほしい」。12月23日開催、「シリア−戦火と愛の慟哭…その狭間を生きる命『シリア・モナムール』上映会・講演会」是非お越しください。

『私たちは、シリアを見捨ててはいない』、再び会場に集い連帯を示す機会としましょう。
それでは、当日、皆様にお会いできることを心より願っております。

以下、イベントの詳細です。


【概要】
当イベントは、シリアよりパリへ亡命した映画作家オサーマとシリアの前線でカメラを廻し続けるシマヴの物語を1001人のシリアの人々がSNSへ投稿した映像でつなぎ合わせた映画「シリア・モナムール」の上映を通し、シリアで繰り広げられる荒れ果てた暴力と、それに翻弄され、絶望の淵に追いやられながらも、希望を求め続ける人々の存在に触れます。上映後には、アラブ文学者による映画解説を得た後、シリアで反政府運動に身を投じる若者たちの日常を追ったフォトグラファー、在日シリア難民の方、学生を交え、討論会を行い、シリア情勢を複眼的視座より考察することで理解を深める。「生きるとは…。そして、命とは…。」遠く離れた日本で「平和」を当たり前に享受する私たちが忘失した疑問を覚醒し、シリア危機を他人事からより身近な問題へと転ずる機会とする。
イベントと並行して、12月21日〜25日まで写真展を開催する。フォトグラファー八尋伸 氏が2012年よりシリアで撮影した写真20点(自由シリア軍兵士や家族の日常、アレッポの戦闘など)を展示し、シリア紛争を生き抜く個々の素顔に触れる。

【上映会・講演会】
12月23日(金曜・祝日)
会場:立教大学池袋キャンパス 9号館2階 大教室
⇨立教大学池袋キャンパスへのアクセス: https://www.rikkyo.ac.jp/access/ikebukuro/direction/
⇨立教大学池袋キャンパスマップ: https://www.rikkyo.ac.jp/access/ikebukuro/campusmap/
入場無料、予約不要、どなた様も直接会場へお越しください。

◆プログラム◆
14:00 開会挨拶:趣旨説明 石井正子(立教大学異文化コミュニケーション学部 教授)

《第一部:映画上映》
14:10 映画上映開始(96分間)
15:46 映画上映終了・休憩

《第二部:トークセッション》
16:00 山本薫 氏「映画解説-文学から見つめるシリア」
16:30 八尋伸 氏「シリア 革命の素顔」
17:00 休憩
17:30 ジャマール 氏「私とシリア、そして、日本。」
18:00 山田一竹「今、シリアに想う:ジャーナリスト桜木武史氏とシリア人へのインタビューを通して」
18:20 登壇者との質疑応答

18:50 閉会挨拶: 山田一竹(立教大学異文化コミュニケーション学部 4年)

◆映画詳細◆
「シリア・モナムール」(英題:Silvered Water,Syria Self-Portrait,アラビア語:ةضفلا ماء
フランス語:Eau argentée,Syrie autoportrait)
シリア・フランス/2014年/96分/アラビア語(日本語字幕)
監督・脚本:オサーマ・モハンメド、ウィアーム・シマヴ・ベデルカーン
写真・映像:ウィアーム・シマヴ・ベデルカーン、1001人のシリアの人々、オサーマ・モハンメド
配給:テレザとサニー
後援:公益社団法人アムネスティ・インターナショナル日本
協力:山形国際ドキュメンタリー映画祭
ストーリー:亡命先のパリで、故郷シリアの置かれた凄惨な実状に苦悩し続けていたひとりの映画作家、オサーマ。苛烈を極める紛争の最前線で繰り返される殺戮の様子は、日々YouTubeにアップされ、ネット上は殺す者、殺される者双方の記録で溢れかえる。カメラを持たない映画作家が、シマヴというクルド人女性に愛の希望を見出し、1001の映像を自らの眼で選択し、ストーリーを構築した本作は、夥しい犠牲者と戦場を捉えるドキュメントにはとどまらず、その個々の死に刻まれた深い傷と愛、絶望の中でも普遍の愛を見出していく、命についての物語である。カンヌ国際映画祭2014特別招待作品、ロンドン映画祭2014ベストドキュメンタリー賞、  山形国際映画祭2015優秀賞、その他多くの国際映画祭にて正式上映。
・映画詳細: http://www.syria-movie.com/introduction
・予告編: https://youtu.be/kPdb3ljW1C8

◆登壇者略歴◆
《外部登壇者》
山本 薫 氏
東京外国語大学外国語学部アラビア語学科卒業。シリア、エジプトへの長期留学を経て、東京外国語大学大学院地域文化研究科博士後期課程修了。専門は、アラブ文学・文化論。東京外国語大学ほか講師・研究員。主な論文に「現代シリアの作家たち―監視下の創造力」『シリア・レバノンを知るための64章』(明石書店)、「我々を隔てることはできない―映画『スリングショット・ヒップホップ』が見せたパレスチナラップの可能性」『インパクション175号』(インパクト出版会)他。翻訳書にエミール・ハビービー著『悲楽観屋サイードの失踪にまつわる奇妙な出来事』作品社、2006年。

八尋 伸 氏
中東の社会問題、紛争、難民、災害等を関心領域とする。2010年頃より、主に、タイ騒乱、エジプト革命、ビルマ紛争、シリア内戦、東日本大震災、福島原発事故を取材し発表。シリア内戦シリーズで2012年上野彦馬賞、2013年フランスのThe 7th annual Prix de la photographie, Photography of the year受賞、ビルマ民族紛争シリーズで米国のThe 7th Annual Photography Master Cup, Photojournalism部門でノミネート等、国内外で活躍。

ジャマール 氏
シリア、ダマスカス出身。現在24歳。ダマスカス大学で英文学を専攻していたが、内戦の激化に伴い、戦火をくぐり抜け2013年2月に母と妹と共にシリアを出国。2013年10月に来日。1年半の間、難民認定許可が下りるのを待ち続け、2014年に日本政府より正式に難民認定を受ける。現在、日本の大学入学に向け、日本語学習に励む一方、シリア内戦下に暮らす支援を必要とする人々の命を繋ぐための支援活動を続ける。

桜木 武史 氏(*山田一竹よりインタビュー内容の報告)
フリーランスのジャーナリストとして、2002年よりパキスタン、アフガニスタン等を取材。その後、「アラブの春」に関心を持ち、2012年3月から2015年4月まで計5度に渡り、シリアに足を運ぶ。著書『シリア 戦場からの声-内戦2012−2015』(アルファベータブックス)において、戦火の中で必死に生きる市民の姿を記録し、複雑な背景を知らない読者と同じ目線でシリア内戦を描いているとして高く評価され、2016年「山本美香記念 国際ジャーナリスト賞」を受賞。

【八尋伸 写真展 シリア-革命と愛の狭間に生きる命】
2016年12月21日(水曜)〜25日(日曜) 12時00分〜20時00分*
※5日間連続開催。
会場:立教大学池袋キャンパス 9号館 9202号室
⇨立教大学池袋キャンパスへのアクセス: https://www.rikkyo.ac.jp/access/ikebukuro/direction/
⇨立教大学池袋キャンパスマップ: https://www.rikkyo.ac.jp/access/ikebukuro/campusmap/
入場無料、予約不要、どなた様も直接会場へお越しください。
八尋伸 公式HP: http://www.shin-yahiro.com/

*初日16時00分open~、最終日~17時00分close、23日は10時00分〜12時00分の部と19時00分〜21時00分の部。22日・24日は通常運営

・立教大学公式イベントページ:
http://www.rikkyo.ac.jp/events/2016/12/18477/

パンフレット

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上映映画「シリア・モナムール」パンフレット

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開催を経て…今シリアに向き合うということ。

12552933_1106486422718866_8673614718754426740_n皆さま、こんばんは。山田一竹です。
一昨日、「今、彼らに等身大で向き合う『それでも僕は帰る 〜シリア 若者たちが求め続けたふるさと〜』上映会・討論会」は盛会裏に終えることができました。私達の予想を遥かに上回る200名以上の方々にご来場いただき、大変嬉しく思っております。ここに、改めましてお礼申し上げます。

無力な一大学生に本当にこのイベントが実現出来るのか。全てが初めての事ばかりで、不安と戸惑いの連続でした。しかし、応援してくださる皆様のお力をお借りして、何とか開催に漕ぎ着けました。

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「混迷を極めるシリアを生きる人々に、同じ人間として等身大で向き合う。」これが、当イベントの最大の目的でした。私自身も、遠いシリアの現実を身近な問題として捉えることは大変難しいと痛感しております。
しかし、当イベントでの、映画上映、解説、報告、監督との質疑応答を経て、少なからず日々の報道で飛び交う被害者の数の裏にある人々に思いを馳せ、彼らの痛みに触れることはできたのではないでしょうか。

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シリア情勢は依然として、熾烈を極めています。
これからも、私は彼らに、そして彼らの愛するふるさとに向き合い続けていきます…。

皆様から頂いた、アンケート全てに目を通させていただきました。お褒めの言葉、励ましの言葉、また、大変貴重な厳しいご意見までありがとうございます。次のイベントに期待を寄せて下さるご意見も多く頂戴いたしましたので、次に繋けて行けるよう、一層努力して参ります。

皆様にまたお会いできることを信じております。

2016年1月16日 山田一竹