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2016年12月23日に開催いたしました「シリア−戦火と愛の慟哭…その狭間を生きる命『シリア・モナムール』上映会・講演会」における代表者山田一竹によるメッセージとなります(当日の配布資料の一部)。  ※一部編集済み

 


この度は、お忙しい中「シリア−戦火と愛の慟哭…その狭間を生きる命『シリア・モナムール』上映会・講演会」にお越しいただきまして、誠にありがとうございます。現在、シリア危機は、今まで以上の難局に直面しております。今年に入り、革命の都市と呼ばれたダーリヤ(DARAYYA)が政府軍により制圧されました。そして、激戦が続いていたシリア北部に位置するアレッポ東部もついに政府軍に制圧されました。2016年12月15日アサド大統領はビデオ声明でアレッポに対する勝利宣言を発表しました。そして人々の「退避」が始まった様子をニュースでご覧になった方も多いと思いますが、現在政府軍側が反体制派に関係したと見られる市民を次々処刑しているという情報も入っています。国連はアレッポで起こる重大な人権蹂躙に対して警鐘を鳴らしています。国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)は、政府軍やアサド派の民兵が市民を殺害した証拠も発表しています。この様な状況下で人々は日々、極限状態に晒されています。アレッポ制圧の直前には、多くの市民がSNSを通じて「最後のメッセージ」発信しました。

「私たちの命を助けてください。アレッポを救ってください。私たちは殺されています。」

「助けてください」という最期の言葉は誰に向けられ、誰に届いたのでしょうか。同じ時代を生きる同じ人間が、どうしてここまで痛めつけられ、踏みにじられなくてはならないのでしょうか。自分の無力さに怒りすら覚えます。それでも、「イベントを開催し、一人でも多くの方に足を運んでいただき、シリアの惨状に想いを馳せ、そして何より彼らの痛みに触れていただく」、これが、今の私に出来る精一杯のことだという思いから、当イベントの企画を進めて参りました。シリアの圧倒的な惨状や人々の悲痛な叫びに眠れない日もありますが、私は、彼らの叫びを受け取った人間としての責務を果たしていかなければならないと思っています。

遠いに日本暮らす私たちには何もできないと思っていませんか。確かに私たちには紛争を解決する力はないのかもしれません。でも、私たちには「彼らを知り、彼らに想いを馳せること」はできるはずです。私のシリア人の友人は「ただ忘れないでいてほしい」と静かに言いました…。内戦は5年以上にわたっています。国際社会が有効な解決策を見出せない中、人々は今、絶望の淵に追いやられながらも細やかな希望を見出して、一日一日命を繋いでいます。どれほど、不安な日々でしょう。どれほど、辛く苦しい日々でしょう。その様な中で、遠い国で自分たちのために祈り、立ち上がってくれる人々がいることにどれだけ励まされることでしょうか。今日、私たちは、遠い日本でこうして集い、シリアを想っています。「私たちはシリアを見捨ててはいない」という連帯を示しています。

シリア内戦に伴う死者数は30万人を超え、400万人を超える人々が難民として避難を余儀なくされました。想像してみてください。朝、起きて空爆であなたの家に爆弾が降り注ぐことを、目の前であなたの家族が爆撃されることを、あなたの愛する人にお別れの言葉も「ありがとう」の言葉も伝えることができないことを。そして、愛する故郷を離れなければならないことを…。それが430万人を超える人々に現実として起きているのです。彼らは、私たちと同じ人間です。尊厳のある人間です。日々飛び交う報道の裏にある、彼らの痛みを感じてください。彼らの命の叫びをどうか無駄にしないでください。そして忘れないでください。彼ら一人ひとりに掛け替えのない人生があり、大切な家族がいて、そしてシリアは彼らの愛する故郷であるということを。彼らは、私たちが今当たり前に手にしているものを求め続けているということを。彼らが希望を捨てていない限り、私たちもまた希望を捨ててはなりません。

私はいつの日かシリアに平和が訪れ、人々が尊厳を持って当たり前に生き、そして、当たり前に尊厳のある死を迎えられる時が来ると信じています。その時まで私は諦めません。どうか皆様も、苦しみもがきながら、生きたくても生きられなかった命の重さを、そして、恐怖に怯えながらもシリアの今を懸命に生きる、尊い命の鼓動を胸に刻み、これからもシリア危機に向き合い続けて下さい。どうか、今日ここでの想いを一日限りにしないで下さい。

本日は、誠にありがとうございました。改めまして御礼申し上げます。今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。

 

シリア内戦で犠牲となった全ての人へ心からの愛と哀悼を込めて。

2016年12月23

主催者代表 立教大学異文化コミュニケーション学部 山田一竹


 

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